2023.01.25
映画『少女は卒業しない』の舞台挨拶付き特別上映会が1月24日(火)、東京・池袋のグランドシネマサンシャイン池袋にて開催。河合優実、小野莉奈、小宮山莉渚、中井友望、窪塚愛流、佐藤緋美、宇佐卓真、藤原季節、中川駿監督が揃って上映前の舞台挨拶に登壇しました。
トークは劇中の男女のカップリングをベースに展開。河合さんが演じたまなみと窪塚さんが演じた駿にとって、学校の調理室が大切な場所となっており、そこで様々な会話を交わすが、河合さんは「結構、決めずに演じた部分が多かったです」とふり返る。また、窪塚さんは、まなみが駿を驚かすシーンで「僕がお弁当の具材を落としちゃいまして…。それが無意識に僕と駿が融合した瞬間で、落ちた具材を拾って食べちゃったんです(笑)」と思いも寄らないリアクションをとってしまったと明かす。河合さんも「インゲンが落ちて、え? インゲンでそんなに驚いた? って(笑)。食べた瞬間『すごっ!』って思いました」と笑顔でその時の様子を語る。中川監督は「素のリアクションが見れましたが、カットが掛かった時のスタッフの青ざめようといったら…もし食中毒にでもなった日にはどうしようかと」と語り笑いを誘っていた。
小野さん演じる後藤と宇佐さんが演じる寺田は恋人同士ということで、距離を縮めるべく、撮影前から後藤の友人役の坂口千晴を加えた3人で交流をしていたという。宇佐さんは「撮影前に1回だけ読み合わせと衣装合わせがあって、そこで『ごはん行く?』と…。僕は結構、人見知りなので、現場ではほとんどしゃべってないんですけど…(笑)」とふり返る。小野さんは、宇佐さんの言葉に深くうなずき「本当に人見知りで、誘った立場なんですけどイヤそうで、申し訳ないなと思いながら…(苦笑)。でも、ごはん屋さんでは一番話してました」と証言。宇佐さんは「恥ずかしいなぁ…」と苦笑を浮かべる。ちなみに撮影時は3人のLINEグループでメッセージのやりとりをしていたそうだが、いまは「パッタリなくなりました(笑)」(宇佐さん)とのこと。
小宮山さんは軽音部の部長の神田を、佐藤さんは同じく軽音部員で彼女がひそかに中学時代から想いを寄せている森崎を演じた。森崎はビジュアル系エアバンドのボーカルで“刹那四世”を名乗っており、4本の指で顔を覆う“刹那四世”のポーズがあるが、佐藤さん曰く「意外と難しい(笑)」。現場では「(キャスト陣が)仲良くなるツールとして使い捨てカメラを大量に控室に用意していた」(中川監督)ということで、小宮山さんは「仲良くなって、休憩時間に写真を撮ることが多くて、みんな、このポーズが大好きで、使っていました(笑)」とポーズ! また、佐藤さんが控室に使用していた音楽室のギターを引っ張り出して、アドリブで演奏したこともあったそう。佐藤さんは「何かないかな? と裏に行ったらギターがあったのでこれだ! と弾きました」と笑うが、小宮山さんは「私はギターに詳しくないんですけど、カッコいいなと。そこで、神田と森崎の世界ができたのを感じて、役に入りやすくなりました」と笑顔で明かした。
中井さんは、クラスになじめず図書室で過ごす作田を演じ、そんな彼女を温かく迎える教師・坂口を藤原さんが演じたが、中井さんは「藤原さんは本当に心が大きくて安心感がありました。ほとんどが2人だけのシーンだったんですけど、藤原さん一人でお父さん5人くらいの安心感があって、そこにいるだけで助けられました!」と藤原さんへの感謝を口にする。
藤原さんは「“お父さん5人”はちょっとわかんないけど…」と笑いつつ「撮影から1年くらい経ちますが、いまでも中井さんは特別というか、自分の生徒のように感じています。今日は(完成披露を迎えて)おめでとうございます。非常に素晴らしい演技でした」と完全に卒業式で生徒を送り出す先生目線でコメントし、会場は温かい笑いに包まれていた。
またこの日は「卒業しない」というタイトルにちなんで、キャスト陣が「卒業したくてもできないもの」について「○○を卒業しない」とフリップで発表! 河合さんは「お客さんでい続ける」と回答し「こういう仕事を始めると『フラットな気持ちで映画やお芝居を見れないんじゃない?』と言われるんですけど、私にとってはお客として観に行って、感動する時間が大事なんです。すごく気持ちがいいし、それはやめたくない。自分に必要なことだと思います」と真剣な眼差しで語る。
小野さんは「動物との暮らし」と答え「いまは猫1匹、犬1匹がいるんですけど、小さい頃から動物が近くにいるのが普通で、いない生活が考えられない!」と動物たちへの愛を口にし、同じく動物と暮らしているという小宮山さん、宇佐さんもこれに深く同意。
小宮山さんは「テスト直前にならないと勉強がはじめられない」と現役高校生らしい悩みを明かすが、小宮山さんが口にした「定期テスト」という言葉に、河合さんは「“定期テスト”という響きが…(笑)」と懐かしそうに反応し、中川監督も「なんてフレッシュ!」と笑みを浮かべていた。
中井さんは「陳列に弱い」と書かれたフリップを掲げ「メッチャきれいに並んでいるものを見ると、欲しくなくても買っちゃう。飲み物とかパンとか…」となんとも不思議な個性を告白。窪塚さんは「ミスタードーナツのポンデリングがきれいに並べられていたら、買っちゃいます!」と共感を口にしていた。
ちなみに、その窪塚さんが卒業できないのは「やるべきことを少しずつ後回しにしてしまうところ」とのことで「三日坊主が治らない…。『必ずする』と言っても、すぐに欲に負けて「あとでいいや…」って。卒業したいけどできない(苦笑)。でも、こうやってみなさんの前で恥をひとつ口にしたので、もう後回しにしないように頑張ります!」と宣言した。
佐藤さんは「楽しむ」を卒業しないと回答。「大変なことは人生でいっぱいあるけど、結局、最後は自分が楽しむことを卒業できない。今日も、ガチガチに緊張していますが、楽しみます!」と力強く語る。
宇佐さんは「休みの日に怠惰に過ごすこと」と書かれたフリップを見せ「僕は生活リズムが終わってまして(苦笑)、仕事がない日は朝7時くらいまで起きて、ゲームをしたりアニメを見たりしてます」と告白。窪塚さんと同じく「こうやって恥をさらして直そうかと…(笑)」と“脱怠惰な休日”を満員の観客を前に誓っていた。
最後の藤原さんの回答は「童心」。この日の登壇キャストで最年長の“先生”だが「子ども心で楽しむことを卒業したくない!」と高らかに語っていた。
舞台挨拶の最後に河合さんは「どんな世代の方が見ても、高校時代のこともそうですし、人生の節目、節目にある別れだったり、次のところに進むってところであったり、共感していただける場面がたくさんあると思います。自分のことを振り返りながら、見ていただければ嬉しいです。最後まで、自由に、まっさらな気持ちでご覧ください」と呼びかけ、会場は温かい拍手に包まれ、舞台挨拶は幕を閉じた。